LONDINIUM_001

JUMPEI TAINAKA / 2020/04/10

この街は、忙(せわ)しい。
とにかく何もかもが密集していている。この忙しさや密集具合は東京を思うけれど、東京は超広大な関東平野に横たわっていて、このロンドンと比べたら、忙しさは似ていても、東京の方がいささか余裕すら感じられるから不思議。歴史に抱かれ、独自のアイデンティティを守りながら、世界都市としての大きなプライドを感じ、最先端を目指している様子が伺える。そんな中を練り歩く自分なんか、ちっぽけで、超巨大な情報の塊が赤のロンドンバスに化けて、とんでもない勢いと物量で、僕の視界にぶつかってくる。目眩がしてくる。ノイズもひどい。だけど、この街の格好良さは計り知れない。ドイツとはさすがに違って、とても混沌としているのだけれど、この混沌さに英国らしいジェントルな感じが融合して、それがなんだか心をつかんでくる。

人生で初めてロンドンへ訪れた1日目の心模様(2017年11月16日)

旅が日常の場合、訪問している滞在先でいかに住人たちと同じような空気感と態度を馴染ませるかは、非常に難しいものだし、そこに余裕すらちらつかせることが出来ることなんて容易ではない。なぜなら、やはり必ず旅立たなければならないものだし、住み慣れた場所と初めて訪れる場所とでは感じる印象はまるで違うから。リミットが決まった滞在は、いつも出会いと別れの繰り返しで、心はいつも穏やかでいることを保つのは難しい時もある。ひょっとすると二度ともう会わない、見ないかもしれないという気もしてくるからだ。再会の意味合いも、明日また約束さえ取り付ければ会える状態の人たちと比べると、まるで違う感慨を持っている。

出会った景色も、この瞬間が最初で最後。次はいつ会えるだろう。

いつも別れがつきものだ。

JUMPEI TAINAKA / タイナカジュンペイ

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